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Japain[日本の痛み・苦しみ]

JAPA」・・・ちょっと古いネタですが、先日外資規制に思うというエントリーを書いた後に、英国の報道機関が日本が現在抱えている病的な現状を紹介した記事があったことを思い出しました。

Link:Japain(Economist.com 2008/2/21)

以下で日本語に翻訳し引用しますが(意訳を含む)、訳文の正否は原文に準拠します。

世界第2位の経済大国はいまだに沈んだまま〜そしてその原因は政治にある

 日本における"失われた10年"の亡霊がアメリカを襲っている。アメリカの住宅バブルが崩壊し、金融市場において影響が認識されるに至り、日本でのあの酷いバブルの発生と崩壊の経験が何らかの教訓になるだろうか、と問うことが急激な景気減速に直面している先進国の間で流行になっている。
 1990年の日本の不動産・株式市場におけるバブル崩壊は、最終的には日本のGDPの5分の1に相当する不良債権を生み出す結果となった。経済が再び正常に成長しはじめたのは、バブル崩壊から実に12年後のことである。そして2005年になって初めて、金融の逼迫と負債デフレから脱却できたと言えるようになったが、今日でさえも、日本の名目GDPは、1990年代のピークを下回っている――これは失われた機会を示す厳然たる尺度である。
※英国は失った年数においては日本を遥かに凌駕しています。経済的側面だけだと、20世紀初頭からサッチャーが首相に就任する1979年までの数十年間を「失った」とする見方もできます。経済・金融の市場開放で健全な成長を取り戻した英国だからこそ、日本に対しモノを言うことができると思います。
※日本の名目GDPがいまだに1990年代のピークを下回っているというのは正しくありません。円ベースだと、バブル絶頂の1990年は440兆円、1990年代で最高だったのが1997年の515.2兆円でしたが、2007年は515.7兆円となり僅かですが最高値を更新しています。
Link:http://www.onsheet.net/user/vrsc/GDP

 だが、亡霊は時に人を欺くことがある。当時の日本と現在のアメリカとの間には、とりわけ、金融危機が"実体"経済をも危機に陥れさせるという点では共通点がある。だが、相違点のほうが遥かに多い。日本は確かに心配の種に違いない―しかしそれは、先進国が同様の経済的失敗に陥る運命にあるからということではなく、日本が世界第2位の経済大国でありながら、根本的な病巣の解決に取り組んでいないことにある。
※世界2位の経済大国であるということは世界に対しそれだけの責任もあるということです。そんな日本が何ら有効な病巣の解決策を実行しないからこそ、日本の現状を「Japain」と呼ぶのでしょう。

2つの危機の顛末
 最も悪く想定したとしても、現在のアメリカにおけるバブル崩壊は、日本のバブル崩壊に比べて規模は小さいだろう。株式市場での崩壊を例にすると、アメリカのS&P500は、1990年のピークと比較して8%低いに過ぎないが、日経平均株価は今でも 1989年のピークから3分の2近く下がっている。商業用不動産で比較しても、両国のバブル崩壊の差は株式市場と同じように劇的である。
 だが、もっと重大な差は、両国がバブル崩壊に直面したときにどのように対処したかにある。 確かに米国では、住宅ローンを小分けにして証券化した広大な市場に対する政府の監督が不十分だった、との批判は可能だ。ところが崩壊が起きると、アメリカ政府は金融や財政出動を果敢に実行に移し、米国の金融機関は損失の表明に忙殺されている。日本では政府が積極的に加担して市場にバブルの種を蒔き、その後の惨状についても企業に加担して、その上何年間も隠し続けた。
※ここが1番のポイント。日本の金融機関は損失を長年隠し続け、どうにもならなくなってはじめて公表した結果、多額の国民の血税を投入した上で消えていく企業もありました。政府の責任も大きかったと思います。日本の"失敗"から早期公表・早期処理の重要性をアメリカは学んだのでしょうが、別段アメリカを持ち上げることもないと思います。バブルを発生させた事自体にも当局の責任があるのですから。それにまだ米国サブプラ発の金融バブル崩壊が終わったとは言えません。ここで結論を出すのは早すぎます。

 日本経済は、いまだに政治家たちによって足を引っ張られている。1990年以降、いくらか変わってきたとはいえ、周期的な後退が日本の構造的欠陥を明らかにしている。数年前までは、日本がまだ中国を上回る経済大国でありいくつかの素晴らしい企業を持っていることから、米国が疲弊した後の世界経済の不況の一部を助けてくれるとの期待感を持つ人々もいた。しかし、それは今となっては期待できそうにない。生産性が目を当てられないほど低く、新規投資に対する収益は米国の約半分。さらに企業が賃金の引き上げをしてこなかったことで、消費は現在も低迷中である。官僚の失策も、経済に多大の犠牲を強いた。日本は、経済面で失望をこれ以上与えないためにも、貿易と競争力の面で一連の改革を実施する必要がある。
※構造的欠陥もそうですが、今後の日本経済を考える上で避けて通れないのが「少子高齢化」問題です。このままのペースだと今後40年で2000万人もの人口減少が予測されています。
Link:http://www.ipss.go.jp/pp-newest/j/newest02/3/z_1.html
政治家はまずこの現実を直視し、高齢化による一国全体の貯蓄率の減退による投資機会の減少を真剣に考えてもらいたいです。国内の貯蓄では投資資金を補えなくなる日がくることを考えて、海外から如何にしてお金を呼び込んでくるか、これは差し迫った問題です。
※日本企業の生産性は確かに低く米国の70%の水準に留まります。ちなみに、ユーロ圏は87%、英国は83%、OECD加盟国の平均ですら75%ですので、日本の生産性は主要国中最低レベルにあります。これは政治の問題というよりも収益性を軽視している非効率な会社の経営姿勢の問題です。ただ、足を引っ張っているのは日本の就業人口ベースで65%を占めるサービス業で(米国の生産性比40%)、製造業の生産性は米国よりも高いということは留意しておく必要があります。外で揉まれている会社は依然強いということです。

引用はここまでです。原文では以下に日本の政治システムの問題点を挙げていますが、たいして斬新で面白いことが書かれているわけではないので割愛します。
私はこの記事を読んで、かなり説得力があり、インパクトも強いなという印象を受けました(題名のインパクトもあるのでしょうが)。ただ、英国の経済紙なのだから、英国と日本を比較した記事を書いて欲しいものです。斜陽の状況からまた日が昇った英国が取った政策こそ、今後の日本がお手本とするべきだと思ってますので。

[関連有りそうな記事]
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「歳出削減努力足りぬ」OECDが日本に注文(MSN産経ニュース)

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