創造的破壊と長期投資
長期的な資産運用を行うに当たり「企業」を主な投資対象としている人(具体的には個別株投資)は、企業を様々な角度から眺め、比較し、検討した上で投資決定されているものと思いますが、私もその一人です。
企業への投資活動は非常に面白く、多方面からの検討作業は知的好奇心も満たされますが、一面、難しさを感じることも多いです。
私が企業への投資の難しさを感じている要因としては以下のような問題があるためです。
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:適正な株価水準の算定の困難さ :企業の寿命は実は短い/創造的破壊の問題 |
適正な株価水準の算定の困難さ
株式に限らず、通常であれば何かを購入するに当たっては価格の安いものを選んで購入するのは当然のことです。グレアムの名著新賢明なる投資家 上
「安い」と言えるからには、そこに厳選たる「適正な価格」があるはずですので、株式個別株投資家はそれを算出できなければ価格の高低を判断できる根拠を持たないことになります。
ですが、例えば証券会社のアナリスト等が個別企業のレーティングや目標株価などを発表していますが、この数値にどれほどの意味があり、そして実際の株価がどう動いたかを確認してみれば「適正(目標)株価」とはあくまで分析した人や機関の主観的なものであることが分ります。私も一応「適正株価」を算出しますが、これが多分に主観的で、あまり当てにならないことを自覚しています。その過程を楽しんではいますが。
企業の寿命は実は短い/創造的破壊の問題
投資を難しいものとしている要因は「割安であるか否か」よりも実はこちらの方が私の中では大きな問題となっています。特に最近強く感じるようになってきました。
私は長期投資だからといっても、投資先会社の永続的な繁栄を期待して株式を永久保有することはできないと考えています。これは米国や日本の企業の研究において、企業の寿命は30〜50年であるという結果がでていることも関係します。例えば1950年代の日本の売上高上位50社の業種別構成は、繊維14社、鉱山9社、化学6社、鉄鋼5社、食品4社などとなっていましたが、現在(2007年のデータ)では、電気機器11社、商社9社、自動車6社、石油6社、通信3社となっていて構成業種が大きく変わっていることを知ることができます。
1950年における売上高NO1であった東洋紡は現在でも健在ですが、企業としてはもはや当時の輝きはありません。ですが会社自体が存続しているだけでも良しとするべきで、1950年代のトップ50社のうち存続しているのは30社程度であり、残りは倒産したり吸収されて姿を消しています。
現在存続している企業であっても、大部分は東洋紡や三井鉱山のように経済的地位を大きく落としていたり、中にはカネボウのように経営に行き詰まり、多角化の失敗の果てに大規模な粉飾を行い、産業再生機構のもと何とか会社として存続しているものもあります。
このように、未来永劫に渡って繁栄を謳歌できる会社はほとんど存在しないと考えて間違いないと思います。あるとしても例外であると考えた方が自然です。
参考リンク:長寿企業の条件(PDF)(Nomura Research Institute)
こうしたことを考えるとき、常に頭をよぎる言葉があります。大経済学者シュンペーターが著書[資本主義・社会主義・民主主義
企業が永続的な利潤獲得のために、古いものを破壊し新しいものを創造していくという資本主義の不断の活動のことをシュンペーターは「創造的破壊」とよび、革新的な企業による技術革新やイノベーションによって、これまでの均衡が破壊され、新たな発展パターンが創出されるとされます。
しかも、こうした創造的破壊のスピードは近年ますます加速していて、技術革新やイノベーションの波に乗ることができなかった企業には厳しい結果をもたらしています。これを裏付けるデータとして、米国のS&P500種インデックスに採用される企業の平均年数の変遷をみてみると分りやすいです。
1930年代において同指数の掲載企業が入れ替わる割合が年率1.5%だったのが現在では約10%に上昇、言い換えれば企業が同指数に掲載される平均年数は1930年代の65年から現在では10年に下がったということになります。同指数から除外されたとしても会社が倒産するわけではありませんが、米国の主要企業では無くなったと判断された企業に将来性を見出せるでしょうか。
※S&P500種インデックスの銘柄採用/除外基準は過去記事[長期投資は難しい]で紹介しています。
個別企業に投資するにあたり、短期売買を行う人よりもむしろ長期投資を行う人は特にこうした流れを無視することはできないと私は考えています。
いろいろな投資尺度を用いて、ある銘柄を「割安」だと判断したとしても、イノベーションや技術革新に乗り遅れて将来消え行く企業に長期で投資しても何の意味もありませんので。
上でリンクを貼った「長寿企業の条件」で紹介されていましたが、長生きする会社の条件として、環境の変化に敏感でありながらも『財務的には保守的である』ことが重要であるとされ、環境の変化(つまり創造的破壊が行われようとしているとき)に機敏であるには財務的な裏づけや不断の研究開発が必須だということはある意味当然なのかもしれません。
そして現在私は、イノベーションから取り残されそうになった会社とはお別れし、次世代の経済の担い手となるような企業に新たに投資するといったことが長期投資においても重要だと思うようになっています。
このように考えれば考えるほど難しい個別企業への投資ですが、こうした問題から逃れることができる方法があります。それはインデックス投資です。S&P500種インデックスや日経平均といった幅広い銘柄を構成する指数に連動する投資信託・ETFがその代表格。必ず儲かるという保障はありませんが、少なくともインデックス投資であれば適正株価算定の困難さを嘆くことはありませんし、創造的破壊による企業の衰退に頭を悩ますこともありません。
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私はというと、個別企業への投資は今後も続けます。
まあ、いろいろと難しいこともありますが、楽しさや充実度がそれに勝りますので。将来個別企業へ投資することに楽しさを見出せなくなったり、投資リターンがインデックスよりも悪い状態が続くようだと全ての資産をインデックス投資での運用に変える可能性はありますが、幸い今のところその予感はありません。
- [2008/05/06 21:26]
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よく参考にさせていただいています。
もしよろしければ私のサイトと相互リンクをお願いできないでしょうか。
私のサイトは
「2ちゃんねるで学ぶ投資・経済」
http://ukpound.blog28.fc2.com/
です。ぜひご検討のほどよろしくお願いします。
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ゲンさんはじめまして。
リンクですが申し訳ございませんが当ブログからのリンクは難しいです。
あとお節介かもしれませんが、2ちゃんの転載でアフィ(特にグーグル)貼るのは止めたほうがいいですよ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/2%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93%E3%81%AD%E3%82%8B%E7%B3%BB%E3%83%96%E3%83%AD%E3%82%B0
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