05.13.2007
損益計算書とは2[決算書の読み方3]
第3回目の今回は、損益計算書の当期純利益までを扱います。損益計算書についての
基本的な構造については、簡単ではありますが一通り触れたことになります。
今回も、例によって東芝の決算短信を基に話を進めて行きます。
今回も、例によって東芝の決算短信を基に話を進めて行きます。
参考資料;東芝19/3期 決算短信 / 東芝18/3期 決算短信
[6502東芝 19年3月本決算(連結)] 4月26日発表 (単位100万円)

※厳密には、東芝は米国会計基準を適用しているため、このままでは当てはまりませんが、今回は無視して話を進めます。(基本は同じです^^)
前回は、『営業利益』の説明まで進みましたので、今回は、『経常利益』から話を進めます。
営業利益から、営業外利益を足し、営業外費用を引いて算出されるものが『経常利益』となります。
『営業外』という名の通り、借入金の支払利息の返済に代表されるような、本来の営業活動によってもたらされる性質のものではない収益や費用がここに計上されることとなります。
具体的な例を挙げれば、以下のようなものがあります。
[余談]
TOB等に代表される企業買収を仕掛ける際には多額の資金が必要となります。この資金を自己資金で 賄うことが可能であれば良いのですが、通常は、増資や銀行からの借入金で資金を調達する ケースが多いです。
東芝の場合も、米原子力発電大手のウエスチングハウス買収資金として、最大4000億円の 借入金の設定をしています。実際にいくら借り入れたのかは不明ですが、 決算短信の支払利息の増加額をみてみると、約70億円増加していることが分かります。
この増加分の全額が、今回の買収に伴うものではないと思いますが、かなりのウエート を占めるのではないでしょうか。
買収が完了したのが、昨年の10月であり、今回の決算に反映されているのは半年分です。
その間のウエスチングハウスの売上高は約1300億円。利益については、東芝の発表によると 黒字だそうですが、それは『営業利益』での話。
ウエスチングハウス社の05年通年の営業利益は約170億円です。
半年だと、単純に考えたら85億円となります。営業利益は買収の際の『のれん代』を考慮しても 今回は黒字でしょうが、税引き前利益で、黒字だとは思えません。
買収の際の買収資金の調達による借入金の支払利息だけでも、多額になるはずで、これらを含めたところで、計算したら、同事業の税引き前利益は赤字の可能性があります。(推測です^^)
買収効果を測る際には、営業利益が黒字であるというだけでは何の意味もありません。 買収資金調達による借入金の支払利息を含めたところで損益を計算する 必要があります。
買収の成果はウエスチングハウス社の業績が通年で表れる今期の決算で、ある程度判明するでしょう。
経常利益から特別利益を足し、特別損失を引いて算出されるのが、『税引き前当期純利益』 です。
ここで、東芝の決算短信の16ページの連結損益計算書を見ていただきたいのですが、 『経常利益』の項目が無いことにお気付きになったでしょうか?
日本では、報道や各種投資本を含めて、経常利益の重要性をことさら強調しているように思えます。
『経常利益』については注意が必要です。東芝の決算に『経常利益』の項目が無いのは、東芝の決算は米国会計基準に基づいて作成されているためです。米国基準では、営業利益の下は『税引き前当期利益』となります。つまり、経常利益はスルーされています。
日本の会計基準でいうところの営業外損益と特別損益を合わせたものが、米国基準の営業外損益となります。米国だけでなく欧州の会計基準でも、経常利益は存在しません。しかも、2009年に日本を含めた先進国の会計基準は、『国際会計基準』に統合されるべく準備が進んでいます。
近い将来、日本においても『経常利益』がなくなる可能性があるのです。
上記説明で書いた、日本の会計基準における『営業外損益』、『特別損益』の区分は、実は簡単な話では無い上に、日本の投資家があまりにも『経常利益』を重視するため、ちょっとした会計処理で、個人投資家が惑わされてしまう部分でもあります。
私が、株式投資において『経常利益』をさほど重視しないわけは以下をお読みいただけたら分かると思います。
⇒[楽天のケース(3月28日記事)]
ケイツネだけを重視する危険性がお分かりになれたと思います。
損益計算書で重要なのは、本業の儲けを表す『営業利益』と営業外の収支を含めたところで算出される『税引き前当期純利益』及びそこから税金等を差し引いた『当期純利益』であると考えています。
以上で、株式投資において重要な損益計算書の基本的な検討事項の説明は終わりです。
次回は、損益計算書と並んで重要な、『貸借対照表』の説明をしたいと思います。
[補足説明]
株式投資においては、過去の決算内容と同じかまたはそれ以上に、将来どうなるか?という視点が重要になります。
過去の分析を基に、会社や、四季報、そして自分なりの予測などで示される将来の業績予測から現在の株価が妥当であるかを判断することになります。
多くの上場会社は、来期の業績予想についても、決算発表の際に出されます。東芝の場合も会社の予測値を発表していて、上記の表に示した通りです。
この数値をもとに、売上高営業利益率を計算すると、約3.5%となり、2期続けての減少と なる予定です。
当期純利益にいたっては、金額そのものが約175億円も減少するとの予測です。
営業利益率の低下及び当期純利益の減少の要因については、前回の 決算書の読み方(2)[損益計算書1]でのゆうちゃんパパさんのコメントにもありましたが、減価償却制度の変更の影響及び子会社売却益が無くなった事が大きな要因であると思います。
減価償却制度の変更により、今期より、償却率が99.999・・%(1円は残すため)へと変更されました。
東芝は、半導体設備に多額の固定資産形成支出をしていますので、これに伴う減価償却費増加額が約350億円と見積もられています。
これは、販売費・一般管理費に属す費用であるため、営業利益を圧迫します。
さらに、19/3期は、営業外利益(日本の会計基準では特別利益)として、・ジーイー東芝シリコーンなどのグループ企業の株式売却益計550億円がありましたが、来期は今のところ、主だった子会社の売却は計画はされていないようです。
この結果、子会社ウエスチングハウス社の収益の通年寄与に代表される増収効果では庇いきれず、純利益がマイナスとなってしまう予定です。
会社が発表する業績予測ですが、保守的に発表する会社、強気な発表する会社と、いろいろですが、保守的な業績予測を出す会社は、経営環境の変化によってたびたび上方修正を出し、強気な会社は、下方修正を出すケースが目立ちます。
これについては会社によって『クセ』のようなものがあり、過去の決算短信での会社の業績予測をみれば大体のクセは分かります。
毎回保守的な業績予測を出す会社が上方修正をしても、実はあまりインパクトはありません。
問題は、こうした会社が下方修正した場合で、この場合の負のインパクトは強く、株価に大きな影響を与える場合があります。
逆のケースも然りで、毎回強気な業績予測を出す会社が下方修正を出しても、インパクトは小さいのですが、ここから上方修正があると、株価が大きく反応する場合があります。
こうした会社のクセをあらかじめ知っておくといいかもしれません。(長期投資家にとってはどうでもいい話なのかもしれませんが^^)
こちらもよろしく!
☆ブログ村株ブログ
| ― | 17/3 | 18/3 | 19/3 | 前年比 | 20/3(会社予測) |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,836,139 | 6,343,506 | 7,116,350 | +12.2% | 7,500,000 |
| 営業利益 | 154,807 | 240,610 | 258,364 | +7.4% | 260,000 |
| 税前利益 | 110,567 | 178,177 | 298,450 | +67.5% | 240,000 |
| 当期純利益 | 46,041 | 78,186 | 137,429 | +75.8% | 120,000 |
| 1株利益(円) | 14.3 | 24.3 | 42.76 | ― | 37.34 |

※厳密には、東芝は米国会計基準を適用しているため、このままでは当てはまりませんが、今回は無視して話を進めます。(基本は同じです^^)
前回は、『営業利益』の説明まで進みましたので、今回は、『経常利益』から話を進めます。
営業利益から、営業外利益を足し、営業外費用を引いて算出されるものが『経常利益』となります。
『営業外』という名の通り、借入金の支払利息の返済に代表されるような、本来の営業活動によってもたらされる性質のものではない収益や費用がここに計上されることとなります。
具体的な例を挙げれば、以下のようなものがあります。
|
営業外収益・・・貸付金や銀行預入金などからの受取利息、保有株式の受取配当金、為替差益、
短期売買目的で所有する株式の売却益など 営業外費用・・・借入金などの支払利息、社債利息、短期売買目的で所有する株式の売却損、 、為替差損など |
[余談]
TOB等に代表される企業買収を仕掛ける際には多額の資金が必要となります。この資金を自己資金で 賄うことが可能であれば良いのですが、通常は、増資や銀行からの借入金で資金を調達する ケースが多いです。
東芝の場合も、米原子力発電大手のウエスチングハウス買収資金として、最大4000億円の 借入金の設定をしています。実際にいくら借り入れたのかは不明ですが、 決算短信の支払利息の増加額をみてみると、約70億円増加していることが分かります。
この増加分の全額が、今回の買収に伴うものではないと思いますが、かなりのウエート を占めるのではないでしょうか。
買収が完了したのが、昨年の10月であり、今回の決算に反映されているのは半年分です。
その間のウエスチングハウスの売上高は約1300億円。利益については、東芝の発表によると 黒字だそうですが、それは『営業利益』での話。
ウエスチングハウス社の05年通年の営業利益は約170億円です。
半年だと、単純に考えたら85億円となります。営業利益は買収の際の『のれん代』を考慮しても 今回は黒字でしょうが、税引き前利益で、黒字だとは思えません。
買収の際の買収資金の調達による借入金の支払利息だけでも、多額になるはずで、これらを含めたところで、計算したら、同事業の税引き前利益は赤字の可能性があります。(推測です^^)
買収効果を測る際には、営業利益が黒字であるというだけでは何の意味もありません。 買収資金調達による借入金の支払利息を含めたところで損益を計算する 必要があります。
買収の成果はウエスチングハウス社の業績が通年で表れる今期の決算で、ある程度判明するでしょう。
経常利益から特別利益を足し、特別損失を引いて算出されるのが、『税引き前当期純利益』 です。
|
特別利益・・・土地・建物等の固定資産売却益、子会社・関連会社株式の売却益など 特別損失・・・固定資産売却損失、子会社・関連会社株式の売却損失、通常の取引以外の 原因に基づいて発生した臨時的な損失(例えば、災害による損失)など |
ここで、東芝の決算短信の16ページの連結損益計算書を見ていただきたいのですが、 『経常利益』の項目が無いことにお気付きになったでしょうか?
日本では、報道や各種投資本を含めて、経常利益の重要性をことさら強調しているように思えます。
『経常利益』については注意が必要です。東芝の決算に『経常利益』の項目が無いのは、東芝の決算は米国会計基準に基づいて作成されているためです。米国基準では、営業利益の下は『税引き前当期利益』となります。つまり、経常利益はスルーされています。
日本の会計基準でいうところの営業外損益と特別損益を合わせたものが、米国基準の営業外損益となります。米国だけでなく欧州の会計基準でも、経常利益は存在しません。しかも、2009年に日本を含めた先進国の会計基準は、『国際会計基準』に統合されるべく準備が進んでいます。
近い将来、日本においても『経常利益』がなくなる可能性があるのです。
上記説明で書いた、日本の会計基準における『営業外損益』、『特別損益』の区分は、実は簡単な話では無い上に、日本の投資家があまりにも『経常利益』を重視するため、ちょっとした会計処理で、個人投資家が惑わされてしまう部分でもあります。
私が、株式投資において『経常利益』をさほど重視しないわけは以下をお読みいただけたら分かると思います。
⇒[楽天のケース(3月28日記事)]
ケイツネだけを重視する危険性がお分かりになれたと思います。
損益計算書で重要なのは、本業の儲けを表す『営業利益』と営業外の収支を含めたところで算出される『税引き前当期純利益』及びそこから税金等を差し引いた『当期純利益』であると考えています。
以上で、株式投資において重要な損益計算書の基本的な検討事項の説明は終わりです。
次回は、損益計算書と並んで重要な、『貸借対照表』の説明をしたいと思います。
[補足説明]
株式投資においては、過去の決算内容と同じかまたはそれ以上に、将来どうなるか?という視点が重要になります。
過去の分析を基に、会社や、四季報、そして自分なりの予測などで示される将来の業績予測から現在の株価が妥当であるかを判断することになります。
多くの上場会社は、来期の業績予想についても、決算発表の際に出されます。東芝の場合も会社の予測値を発表していて、上記の表に示した通りです。
この数値をもとに、売上高営業利益率を計算すると、約3.5%となり、2期続けての減少と なる予定です。
当期純利益にいたっては、金額そのものが約175億円も減少するとの予測です。
営業利益率の低下及び当期純利益の減少の要因については、前回の 決算書の読み方(2)[損益計算書1]でのゆうちゃんパパさんのコメントにもありましたが、減価償却制度の変更の影響及び子会社売却益が無くなった事が大きな要因であると思います。
減価償却制度の変更により、今期より、償却率が99.999・・%(1円は残すため)へと変更されました。
東芝は、半導体設備に多額の固定資産形成支出をしていますので、これに伴う減価償却費増加額が約350億円と見積もられています。
これは、販売費・一般管理費に属す費用であるため、営業利益を圧迫します。
さらに、19/3期は、営業外利益(日本の会計基準では特別利益)として、・ジーイー東芝シリコーンなどのグループ企業の株式売却益計550億円がありましたが、来期は今のところ、主だった子会社の売却は計画はされていないようです。
この結果、子会社ウエスチングハウス社の収益の通年寄与に代表される増収効果では庇いきれず、純利益がマイナスとなってしまう予定です。
会社が発表する業績予測ですが、保守的に発表する会社、強気な発表する会社と、いろいろですが、保守的な業績予測を出す会社は、経営環境の変化によってたびたび上方修正を出し、強気な会社は、下方修正を出すケースが目立ちます。
これについては会社によって『クセ』のようなものがあり、過去の決算短信での会社の業績予測をみれば大体のクセは分かります。
毎回保守的な業績予測を出す会社が上方修正をしても、実はあまりインパクトはありません。
問題は、こうした会社が下方修正した場合で、この場合の負のインパクトは強く、株価に大きな影響を与える場合があります。
逆のケースも然りで、毎回強気な業績予測を出す会社が下方修正を出しても、インパクトは小さいのですが、ここから上方修正があると、株価が大きく反応する場合があります。
こうした会社のクセをあらかじめ知っておくといいかもしれません。(長期投資家にとってはどうでもいい話なのかもしれませんが^^)
こちらもよろしく!
☆ブログ村株ブログ
Trackbacks
決算発表シーズンも、そろそろ後半ですね。ところで、決算の数字はちゃんと見てますか?短期投資ならばちゃんと見なくてもいいかもしれませんが、中長期だと見ておきたいところですね。最低でも、売上高や営業利益、純利益あ
2007/05/13 (Sun)
21:20 | 株をはじめる前に読むブログ
| ホーム |

Comments
post a comment