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貸借対照表とは1[決算書の読み方4] 

今回は貸借対照表の見方についての説明を行います。

企業の業績について、新聞・ニュース報道等でよく出てくるのは、「売上高」、「営業利益」、「経常利益」などですが、これらは全て『損益計算書』の表示科目です。
損益計算書については、報道等で普段耳にする(触れる)機会が多く、取っ付き易いことから、そんなに勉強しなくてもある程度は読むことができるかと思います。

ところが、今回説明する『貸借対照表』については、基本を抑えておかないと、全く読めません。
そういうわけで、損益計算書の時のように、いきなり決算短信を基に説明する、ということはせずに、基本的な流れからご紹介していきます。
貸借対照表 簡略図

20070721173639.jpg

貸借対照表は、会社の決算期末における財政状態(資産・負債・純資産の状態)を示す決算書です。 別名「Balance Sheet(バランスシート)」(略してB/S)とも呼びます。(ちなみに、損益計算書は「Profit and Loss Statement」の略で、P/Lとも呼びます)

上図で説明すると、図の右側が「資金の調達源泉」、左側が「資金の運用状況」となります。
厳密に言えば、そんなに単純ではない部分もありますが、始めはそうした理解で問題ありません。

設立第一期目の会社(小売業)を例にした場合
(1) 資本金1000万円で会社を設立
(2) 友人から100万円を借入れ(借入れ期間1年未満)
(3) 銀行から1000万円を借入れ(借入れ期間10年)
(4) 店舗を500万円、土地を500万円で購入
(5) 商品10個を1000万円で仕入れ(一個当たり100万円)
(6) 同商品9個を1000万円で販売(現金で回収)

この条件で損益計算書及び貸借対照表を作ると以下のようになります。(借入れ利息、資産の減価償却、税金などは無視します。)

損益計算書

売上高 1000万円(上記(6)より)
仕入れ△900万円(上記(5)より)
当期純利益 100万円
※仕入れ金額は1000万円ではないかと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、900万円が正解です。これを会計原則でいうところの『費用収益対応の原則』といいます。

費用収益対応の原則・・・費用及び収益は、その発生源泉に従って明瞭に分類し、各収益項目とそれに関連する費用項目とを損益計算書に対応表示しなければならない。

つまり、収益項目は商品9個の売上1000万円。それに対応する費用項目は9個分の仕入れ代金の900万円です。
これは損益計算書での話ですが、かなり重要な原則です。意図的に費用と収益を対応させないことによって、粉飾決算に使われるケースもあります。では、残った商品100万円はどこにいったのでしょうか?それは以下に説明する貸借対照表に表示されることになります。
20070520053257.jpg上の例で貸借対照表を示すと左図のようになります。 まずは、右側の『資金の調達源泉』から見ていきます。
負債は『他人資本』ともいわれ、返済義務がある点で、後に説明する『自己資本』とは異なります。負債は、流動負債と固定負債に区分されます。

流動負債・・・債務の期限が1年以内に到来するもの。



借入金以外に、買掛金、支払手形、などがここに計上されることになります。
例の(2)で、友人から100万円を借り入れましたが、借入れ期間は1年未満ですので、この100万円は流動負債として計上されることになります。

固定負債・・・流動負債以外の負債。

債務の期限が1年以上の負債はここに計上されることになります。例(3)の銀行から借り入れた1000万円の借入れ期間は10年なので、固定負債として計上します。
決算書に出てくる『短期』、『長期』は、今回の負債に限らず、全ての項目で期間が1年以上であるかどうかで区分されることになります。

次に『純資産』ですが、これは会社法の改正により、今回の決算から新たに導入されたものです。以前は『資本の部』と言われていました。ですが、単純に資本の部=純資産というわけではなく、貸借対照表の中では、最も難解に感じるところかもしれません。

純資産・・・株主資本とその他(評価・換算差額等、新株予約権および少数株主持分)で構成される。

株主資本とは自己資本ともいわれ、借入金と違って返済の必要のない安定的な資金といえます。株主資本は以下の項目から構成されます。
資本金・・・株式の発行によって集めた資金のこと。
資本準備金・・・株式の発行によって得た出資金のうち、資本金にしなかった残りの部分。
要するに、株主から出資された金額のうち、一部が資本金に、残りが資本準備金になるということです。厳密には、資本準備金の積立基準は、会社法に規定がありますが、株式投資においては厳密に区分する必要はありません。資本金と資本準備金の2つを合わせて『資本金』でいいと思います。
利益剰余金・・・損益取引から稼得した利益のうち内部留保すべきとして会社法で規定されている金額のこと。
当期純利益として過去より蓄積された利益はここに計上されていきます。ここがマイナスの会社は問題外です^^

上記の例では、(1)の設立時の出資金払い込みにより資本金が1000万円となり、損益計算書によって算出された当期純利益100万円が利益剰余金として計上されることとなります。
負債の合計金額と純資産の合計金額を合算すると2200万円となりました。
純資産の部の株主資本以外の評価・換算差額等、新株予約権および少数株主持分については、今回は触れません。
今度は、貸借対照表の左側の部分である、『資金の運用状況』をみてみましょう。
友人や銀行、そして設立時に振り込んだ資金が、どのように運用されたのかが一目瞭然です。

流動資産・・・現金、預金、売買目的で所有する有価証券、売掛金、商品(棚卸資産)及び期限が1年以内に到来する債権など。

例では、商品の売却代金1000万円を現金で回収しています。加えて、借入金や資本金として調達した資金2100万円のうち、今期使用した金額が2000万円[(4)+(5)]ですので、残額が100万円です。この2つを合わせた現金の期末残高は1100万円になります。
さらに、期末段階で売れ残った商品(棚卸資産)が1つありますので、この商品の購入価格(100万円)を流動資産として計上します。

固定資産・・・有形固定資産、無形固定資産及び投資その他の資産に区分される。

有形固定資産・・・建物、機械、車両、土地などのハコモノ。
無形固定資産・・・営業権(のれん)、特許権、商標権など。目に見える資産ではないが、他の企業を上回る企業収益を稼得することができるといった無形の財産的価値。
投資その他の資産・・・子会社株式、長期貸付金など。

例では、土地及び建物をそれぞれ500万円で購入していることから、有形固定資産として計上することになります。
資産項目では他に『繰延資産』がありますが、ここでは割愛します。

例での資産の合計額は、2200万円となりました。
このように、右側の『負債と純資産計』と左側の『資産計』は、必ず一致することになります。
ちなみに、バランスシートと言われる所以は、左右がバランスする(一致する)一対の表でありことから。

一回で貸借対照表の基本構造(さわりですが^^)を詰め込んだため、かなり簡潔なものとなっていますが、ここで書いたのは、これから実際に会社の貸借対照表を検討する上での予備知識です。
次回は、上場会社の決算短信に載せられた貸借対照表を基に、どういった点に注目して見ていくべきかをご紹介します。





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