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EV/EBITDA倍率とは2(企業価値算定への道3) 

前回の記事で、EV(企業総価値)とEBITDA(金利の受け払い、税金の支払い 減価償却前の利益)の説明をしました。
今回は、この2つの指標を使って算出する、『EV/EBITDA倍率』(または単に『EBITDA倍率』)について書いていきます。

企業価値を算出する場合の倍数計算に使用する『利益』や『キャッシュフロー』は、見方によって何とおりにも考えることが可能です。例えば、PERは、株式時価総額を最終利益(税引き後利益)で割った倍数です。『最終利益』がPERの分母となっているというのがポイントで、利息の負担部分や一時的な収益・費用をも内在したものがPER算定の基礎となっています。
PERを株価比較のツールとして使用する際には、そういった一時的な要因や特殊要因を取り除いた、『本来の利益』へと修正させたほうが、よりその会社の実態に則したものになる可能性が高い場合があります。
そうした点を考慮して考え出された倍数こそ、『EV/EBITDA倍率』だといえます。

EV/EBITDA倍率算定式

EV/EBITDA倍率(倍)EV(企業総価値)÷EBITDA

EV・・・株式時価総額+ネットデット(有利子負債-現金および現金同等物)
EBITDA・・・営業利益+減価償却費

(参考)PER(倍)株式時価総額÷税引き後最終利益

EV/EBITDA倍率はPERの修正バージョンと考えた方が、スッキリ理解できるかとおもいます。EBITDA倍数の分母のEBITDAに相当するものが、PERの分母にくる税引き後最終利益であり、EBITDAの分子のEVに相当するものが、PERの分子にくる株式時価総額となります。
つまり、EV/EBITDA倍率とは、PERに含まれる一時的、特殊要因の損益を全て抜き取って、その会社の営業活動によって生み出されるキャッシュから株価算定の倍数を取ろうというものです。

[ここまでのまとめ]
(メリット等)
・EV/EBITDA倍率を一言でいえば、買収時に投下する実質的な資金であるEVが、買収される会社の簡便的なキャッシュフローを示すEBIDTAの何倍であるかを表すものである。
・原価償却前の利益を使用することから、類似業種でも、設備投資の耐用年数の違いなどで減価償却費が異なる会社間での比較が可能となる。
・一時的・特殊要因で発生する収益、費用を算定根拠から省くことにより、事業本来の価値の基準値とする考え方が機関投資家やM&Aの実務で広く支持されている。(以下で書くように、問題も多いEV/EBITDA倍率ですが、広く支持されているというのがポイントです。)
・税制・金利・減価償却の基準などは各国によって大きく異なっているので、それらの影響を除いた収益であるといえるEBITDAは企業の国際間比較をするのに有効な面がある。

(デメリット等)
全ての会社にこの倍数を用いることは、実態に則してない部分がある。例えば金融業・リース業のように、現金預金と有利子負債は表裏一体の関係にあり、これらの多寡が本業の収益力の源泉となっている。この場合、現金預金、有利子負債ともに財務活動用の資産・負債でなく営業活動資産といえるので、EVを買収時に必要な実質的な資金であると定義することの妥当性に欠ける。
・各国の制度を無視する必要性の問題。この倍数のメリットの一つとして挙げられる、国際間比較が可能になるという点だが、例えば税金については実際にそれぞれの国の税率で税金が引かれており、株主の手元に残るキャッシュという意味では、税金はキャッシュフローから差し引くのが妥当であると言える。また、原価償却費を一律で足し戻すことも、会社によって利益の源泉は大きく異なるため、利益の経済的実質を無視している面がある。

このように、EV/EBITDA倍率にはメリットもありますが、デメリットも大きなものがあります。デメリット面でよくいわれる上述の点については、無視できない問題です。
実際にこの倍率を使用する場合には、こうした点も踏まえて、各項目を修正する必要があると思います。例えば、IT業界に属す会社は有形固定資産をほとんど所有していない場合が多いのですが、こうした会社は短期間でブランド価値をいかに高めるかが重要となります。 設備投資はあまり行わないので減価償却費は小額ですが、ブランド価値を高めるための広告宣伝費や販売促進費は多額になる場合があります。こうした費用も長年に渡って収益に貢献するという点では設備投資と同じであり、減価償却費と同様に、営業利益に戻し入れて計算するという考えもあるでしょう。

EV/EBITDA倍率が別名簡易買収倍率とも呼ばれているように、このままではあくまで『簡易』なM&A指標なのですが、項目を修正したり、PERなどと組み合わせて使用したりすることで非常に使えるものになります。

実際にどういった方法で会社間の比較を行うかについては、次回に実際の会社間の比較を行うことでご紹介しようと思います。
[参考になるサイト]
かえるの気長な生活日記。 ⇒EV,EBITDAEV/EBITDA倍率
株をはじめる前に読むブログ ⇒EV/EBITDA倍率


19:14 | 株式投資一般 | comments (2) | trackbacks (0) | edit | page top↑
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Comments

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こんばんは。

今回の記事も勉強になります。特にIT業界に対する有形固定資産の話など。

万能な指標は無いと思うので、そのデメリットをきっちり把握した上で、使うというのが大事ですね。

記事での紹介と、TBありがとうございました。
by: staygold | 2007/07/01 19:56 | URL [編集] | page top↑
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staygold さん、こんばんは^^
仰るとおり、EV/EBITDA倍率も含めて万能な指標はないので、それぞれの指標の特徴を掴んだ上でないと全く使えません。EV/EBITDA倍率にしても、その倍率を算出しただけでは意味が無く、この数値を類似の会社と比較検討して株価の高低を測ることになりますが、実はこの[類似会社]の選定が難しいです。単に同業他社と比較したのでは意味をなさない場合があるので。
by: ぐっち | 2007/07/01 23:04 | URL [編集] | page top↑

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